chirashi

エモーショナルな人生を

母の日

毎年、母の日はプレゼントを送るようにしている。花だったりお菓子だったり。結婚してからは、実母にも義母にもだいたい同じものを送っている。

社会人になってから、一度だけ何も送れないことがあった。わたしが乳がんを告知された直後で、母の日であることは認識していたが、端的にいえばそれどころではなかった。

母は、わたしの病気について誰よりショックを受けていたし、わたしは痛いほどそれがわかった。とはいえ、自分の治療に必死だったので、母親の感情についてまでは考えないようにしていたけれど。そこについては妹がケアしてくれたと思っている。

ふと思い返してみると、闘病中の最も過酷だった時期に、最も醜い(とわたし自身が思っている)姿を見せたのは母だけだったと思う。夫にもほとんど見せていたし、涙を見せたのは夫に対してだけだったが、闘病が始まってからはできる範囲で元気を装うようにしていた。白血球がもうほとんど少ない状況で、高熱でフラフラになりながらの通院は母とふたりだった。今となっては冷静に書けるが、つらい思い出に変わりはない。でも、きっと、死ぬときに思い返すであろう一つのできごとだとは思う。

その間、母は、わたしに対して絶対に悲しい顔もつらい顔も見せなかった。病気になったことを告げる一番最初の電話以降は、覚悟を決めていたのだと思う。なんとなく、わたしはこの人にそっくりだなと思った。

ところで、今年のプレゼントは祇園にある料亭、よねむらのクッキー。ミシュランを獲得しているらしい。店舗に買いに行ったところ、あまりに場違いで冷や汗をかいた。びっくりする値段だが、その分おいしい。特別なときに買うにはよい。

今週のお題「おかあさん」