chirashi

エモーショナルな人生を

病気と自分を切り離した上で、がん患者であることを価値にする

乳がんを告知されて5年が経ち、春で6年を迎えようとしている。「東京オリンピック見れるのかな?」という思いは、まさか別の理由で叶わないとは考えもしなかったけれど、治療を続けながら元気に暮らしている。

当時からわたしは、病気をアイデンティティにし、「乳がん患者」として生きることで、自分を奮い立たせていた。『おっぱいサバイバー』というブログを書き続けているのも、それが理由のひとつ。告知から数週間後にステージ2aとわかり、つまり5年生存率は90%と理解してからも、それは変わらなかった。だって、治療は10年かかるらしい。少なくともその間は、がん患者でいなくちゃいけないってことでしょう?

それが、5年経過したころから変わった。だんだん、病気をアイデンティティにする気持ちが薄れてきた。病気であってもなくても、得てきた経験やスキルは消えない。会社員として、Webサービス企画やデザインを生業とする者として、その価値は変わらない。

時間がそうさせたのか、治療が少しずつ減ってきたからか、仕事で認められる機会が増えたからか、考え方が変わってきた理由はわからない。とにかくいまは、病気と自分を切り離そうと思える。病気であろうがなかろうが、わたしの価値は変わらない。

2021年に入り、本腰を入れた副業を始めた。これまでもいくつか単発で副業はしてきたが、今回はサービスの立ち上げから関わっている。がん患者の不安を解消する相談サービス。

これまで、がん患者向けのWebサービスやコミュニティに興味はあったし、実際にいくつか関わっていた。『キャンサーペアレンツ』ではデザインやディレクション業務が運営の役に立つことを改めて知ったし、自分で立ち上げた『AFTER5』では読者から感謝の声をいただく。でも、正直にいえば、開発者として覚悟が持てなかった。いつか自分のような患者に向き合うことが恐怖だったから。よりステージが重かったり再発を繰り返す恐怖も、より軽く嫉妬する不安も、自分が患者だからこそあった。だから、仕事で「がん」に関わるのは、中途半端な部分があったな、とも振り返る。

それでもやるのは、あのころ治療で何もできなくなった自分を救うためであり、キャリアを活かすためである。

病気と自分を切り離した上で、わたしは自分の経験と知識をいかし、患者としての自分の気持ちにも向き合っていく。

CancerWithというサービスを作っています。