chirashi

エモーショナルな人生を

ベリーショート

年末に髪を切った。肩ほどの長さだったパーマヘアを、耳がしっかり見えるベリーショートに。元よりも少し弱めのパーマにして、ウェットでクシュっとしたアレンジをしている。会う人会う人の「すごく似合う!」を真に受けているから、とても気に入っている。褒めてくれた方、ありがとうございます。

美容室で「前にベリーショートにしたのはいつですか?」という問いかけに、すぐに答えられなかった。以前ベリーショートだったのは、抗がん剤治療が終わって1年くらい経った頃だった。つまり伸びかけの髪のころ。いまの美容師さんには治療のことを伝えていないから、なんとなく誤魔化して回答をした。

治療前の髪の毛はパーマやカラーで傷んでいたので、副作用から復活して新しく生えてくる真っ黒で艶やかな髪の毛は好きだったし、当時の髪型も気に入っていた。でも同時に、真っ黒なベリーショートは「がん治療を象徴する髪型」として、長い間わたしの記憶に刻まれていた。あくまで治療の過程の髪型で自分で望んだものではない、という気持ちがあったし、絶対に患者っぽいと思われたくないという反骨精神のようなものがあったと思う。

それからもう7年以上経って、治療が落ち着いて体調が戻って、そういう思いが消えた。

いや、というか、メガネをかけピアスをし、外出時はマスクをつけ、冬は帽子もかぶると、耳まわりのゴチャつきに困る。ふわふわのパーマヘアだとアレンジに困ってしまう。だから最近は一つにまとめていることが多かったのだけれど、それなら切っちゃえば良くない? と気づいたのだった。当時抱えていた病気に対する気概はさまざまな活動をする中で消化されたし、人に恵まれ続けているから病人扱いしてくる人はほとんどいない。

好きなことをやるぞという、覚悟のベリーショート。