chirashi

エモーショナルな人生を

ふたり暮らしとひとり暮らし

中学を卒業後、寮生活を始めることになった。2002年。もう16年も前である。

高専の合格発表の後、入学へ向けた書類で「寮を希望」を選んだ。当時住んでいた実家から学校までは2時間近くかかったし、父親の転勤によって家族はその家から引越す流れだったから、特に熟考するまでもなく、寮を希望し、気づけば入寮が決まっていた。

寮は、ふたり部屋だった。

入寮するまで、どんな子と相部屋になるかは分からなかった。入寮日、先に部屋に入り支度をしていたわたしの元に「こんにちは!!」と元気よく入ってきたK。彼女とは半年間同じ部屋だった。年頃だったわたしたちは、彼氏と喧嘩したという話で泣きじゃくり、どうでも良い話で笑いあった。半年後には部屋替えがあり、もともと隣室だったYと同じ部屋になった。一度寝ると起きないわたしたちは、防災ベルの音にも気づかず寝続け、友人たちに心配された。試験期間には勉強そっちのけで深夜までくだらない話をし、行きたくない授業はこっそり寮でサボって過ごした。

ありがたいことに、寮生専用の食堂があって、毎日3食提供された。ただ、1年生は、食堂で喋ってはいけない・テレビの近くに座ってはいけないなどのルールがあって、食堂に行くのが面倒になった。結果として、カップ麺やお菓子を食べる日々が続いて、そのせいかは分からないけれど、体調が悪くなることもあった。

わたしの初めての「ふたり暮らし」は、そんな風にして、嵐のように過ぎ去っていった。濃厚な時間だったけれど、よく考えてみればたった1年間しかなかった。寮生活を1年間で終え、わたしは実家から通学することを選んだ。友だちには相談せずに、自分ひとりで決断した。相談したら引きとめられて、意思が変わってしまうと思ったから。

その後、紆余曲折あり大学を卒業し、就職と同時に「ひとり暮らし」を始めることになった。2009年。これももう9年も前。

新卒で入った会社、つまり今も働く会社は、とても忙しかった。現在は定時退勤なのでまったく信じられないが、毎日のように日付が変わるほどの深夜に帰っていた。望んで入った会社で、夢見ていた仕事で、良い評価ももらったが、なんでこんな生活を送っているんだろう? と苦しんだ。それでも、まかないランチの出ない日(今でこそ毎日ランチが出る会社だが、当時は週に2, 3回の提供だった)は、必ずお弁当を作る生活をしていた。食生活が荒んでいた寮生活を反省していたのかもしれない。あるいは、仕事のストレスをお弁当づくりで発散していたのかもしれない。今となってはもうあまり記憶はないけれど。

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当時のお弁当

画質が荒いのが懐かしい。同僚は外食に行ったり宅配のお弁当を頼む中で、じぶんのためだけに作ったお弁当を食べるのは、下っ端だったわたしにとって、ちょっとした優越感だった。この初めての自炊生活によって、いま現在の毎日の料理を楽しみにする生活の基礎ができたように思う。

当時の忙しい日々の中で、同じチームだった上司こと、いまの夫と仲良くなるのは時間の問題だった。深夜まで営業しているカフェを探して、よく仕事帰りに行った。そうこうするうちに、1年ほどでほとんど半同棲となった。そういう意味では「ひとり暮らし」の思い出はほとんどない。

いや、正確には、このブログで書けるような思い出はない。大人になってからの思い出というのは、なかなか公の記事には書きづらいのだ。つらいこともあったし、まわりの人に迷惑をかけたけれど、ひとつだけ言えるのは、ひとり暮らしの時間があったのは良かったということだ。

ひとり暮らしから半同棲期間のあわせて2年を経て、同棲をはじめた。ふたりで家具を選ぶのはとても楽しかった。それからも数年の間にも、ほんとうにびっくりするくらい様々なことがあった。それでも今は、夫とふたり(と2匹)暮らし、穏やかで自由で、幸せである。

#私の一人暮らし

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