chirashi

エモーショナルな人生を

彼女と妻の胃袋事情

初めて一人暮らしをするとき、どうせ料理なんてしないだろうなーと思って、ガスでもIHでもなく電熱コンロが一個だけのワンルームを借りた。
気付けばそこで夫となる人とほとんど一緒に暮らして、ほとんど毎日ごはんをつくっていた。

わたしは、結婚する前から彼女と妻というのは全く別の生き物だと思っていて、つまり彼女としての振る舞いと妻としての振る舞いは別だと考えていた。
例えば、彼女がごはんをつくる場合は彼氏の好きなものを用意するのがいちばん大事で、妻がごはんをつくる場合は栄養のバランスとか予算とか二人の状況にあったものを出すのがいちばんだと思っていた(今もそう思っている)。

付き合っていた頃は、毎日のように良いビールやお酒を買って食卓に出したりとか、好きなものばかりを並べたりとか、さらにはお菓子を買っておいたりとか、あ、もちろん全部自分の稼いだお金でね。でもそれが好きで楽しくて満足していた。
がんばって野菜を多めにするとかしなくって、とにかく喜んでもらえることだけを追求していたかんじ。
それが彼女の振る舞いだと思っていたから。

同棲をするようになって、だんだん栄養のバランスを考えたりとか、予算にある程度の制限をつけたりとか、二人の状況を考えるようになる。
そうそう、これくらいの時期にいちばん嬉しかったのは、夫がずっと悩んでいた肌荒れがピタッとなくなって、いつもあった口内炎ができなくなったって言われたこと。

そして、そうこうしているうちに結婚して今に至る。
結婚してからは、バランスも考えるし、いろんな状況を考慮する機会が増えた。今週は食べ過ぎだからちょっとヘルシーにしようとか、ボーナスが出たから豪華にしようとか。
付き合っていた頃は、いつか別れるかもしれないというのがどこかにあって「いつも良いものを」という思いがあったけれど、結婚をすると長い未来をみるようになって、健康で長生きしてほしいみたいなことを思うようになる。

彼女も妻もそれぞれの振る舞いがあって、そしてそれは相手に求めるのではなくて自分で決めるものだって話でした。